特急おべんとう号

『特急おべんとう号』

作 岡田よしたか
出版社 福音館書店
発行日 2009年3月1日
価格 ¥1,500+税


本書は、「全日本おべんとうマラソン」「ねこ 大災難」「特急おべんとう号」の、3つのお話が収録された創作童話集です。

第1話「全日本おべんとうマラソン」では、お弁当のごはんやおかずさんたちによるマラソン(世界で初めてのレース!)の様子が、臨場感たっぷりに描かれています。「さあ、パーンという合図とともに 各選手、いっせいにとびだしました。」と中継の声が聞こえるなか、ベタベタして走りにくいと納豆が遅れたり、と思えば、その納豆が前のコロッケと接触して「なんちゅうことしてくれんねん」とコロッケがいかったり、はたまた、ゆでたまごとめだまやきとたまごやきの三兄弟が激しく順位争いをしていたり(ちなみに、まるいゆでたまごが有利のよう)。なんともゆかいでおかしなレースです。
そんなマラソンのお話に続く第2話「ねこ 大災難」には、1話でマラソンの列に乱入していたねこが登場します。金魚を食べようとしたらどこからか現れた巨大な金魚に見つかり、必死で逃げるもどこまでも追いかけられるという、大災難が降りかかるお話です。
第3話では、1話のマラソンで活躍したお弁当のごはんやおかずたちが、なんと電車に乗って遠足に行くお話です。でも相変わらず喧嘩っぱやい、ごはんやおかずたち。このおかしなやりとりは、ぜひ実際に手に取ってご覧いただきたいです。

言葉の流れにスピード感があって、ぐいぐい引き込まれていきます。童話集と言っても文章は短めで、なんと全ページフルカラー。言うなれば、絵本を3冊ひとまとめにしたようなもの。とっても贅沢な1冊です。

のちの作品、『ちくわのわーさん』『うどんのうーやん』『こんぶのぶーさん』に出てくる食べものも、隠れているかも。
とにかく、おもしろい!に尽きる1冊です。