りんごです

『りんごです』

作 川端誠
出版社 文化出版局
発行日 1984年9月16日
価格 ¥600+税


誰かに少しかじられちゃったけれど、真っ赤な赤いまるいもの、これは“りんごです”。
小さな茶色い種が10粒。これも“りんごです”。
木の枝に咲いている、小さくてかわいい白い花。これもやっぱり“りんごです”。

いくらめくっても左ページには“りんごです”の言葉が続き、右ページには、種や芽、花など、さまざまな状態のりんごや、色々な形や色をしたりんごが登場します。
りんごに密着した、りんご好きにはたまらない(?)りんごの絵本です。

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川端誠さんの『バナナです』は、この「くだものシリーズ」(私が勝手にそう読んでいるだけです)の中で初めて手に取った絵本です。最初は、めくってもめくっても“バナナです”の一点張りがおかしくて。けれどよくよく考えると、むいてもらった白いバナナしか食べていないようなまだ幼い子どもたちにとって、皮に包まれた黄色のも「バナナ」で、木になっている青いのも「バナナ」で、3本も4本も連なって房になっているのもやっぱり「バナナ」だなんて、不思議だよなぁと。
更にこの『りんごです』は、その種や芽、花まで登場するからおもしろい。

緑の表紙に描かれたりんごも、潔くてすごく好きです。その堂々とした姿が、私にはまるでりんごが自慢げに胸を張っているようにも見えて、そんなことを考えるとますます愛着のわく1冊です。