ジョニーのかたやきパン

『ジョニーのかたやきパン』

文 ルース・ソーヤー
絵 ロバート・マックロスキー
訳 こみやゆう
出版社 岩波書店
発行日 2009年5月15日
※原書『JOURNEY CAKE,HO!』1953年発行(アメリカ)
価格 ¥1,600+税


ジョニーは、メリーおばあさんとグランブルおじいさんのもとで、手伝いをしていました。3人の暮らしは平和なもので、長い間、何も困ったことはありませんでした。

ところがある晩から、3人のもとに次から次へと災難が降りかかります。
とうとう食べるものもなくなって、ジョニーを食べさせていけなくなったおじいさんは、家を出て新しい手伝い先を見つけるよう、ジョニーに言いました。

翌朝になって、家を出たジョニー。ところが歩いている途中、背負っていた袋の中からかたやきパンが飛び出して、ころころと坂道を転がりはじめました。

慌てて追いかけたジョニーでしたが・・・?

* * * * * * *

ロシア民話の、『おだんごぱん』(瀬田貞二訳、脇田和絵、福音館書店刊)や『パンはころころ』(八木田宜子訳、マーシャ・ブラウン絵、冨山房刊)のような、パンがころころ転がって・・・というストーリーですが、最後は「ぱくっ」ではなく、めでたしめでたしのおはなし。(と言っても、ロシア民話の方ももちろん違った魅力があって、それぞれ素敵なのですよ。)

ジョニーがパンを追いかけていると、牛もそのあとを追いかけて、あひるもそのあとを追いかけて・・・と、どんどん動物が増えていく様子は、とても臨場感があって、ぐいぐいとお話の中に引き込まれていきます。

さて、そんなジョニーが家を出なければならなくなったとき、悲しそうに送り出していたおばあさんですが、ジョニーが帰ってきたときの嬉しそうな顔といったら!はじめからずっとむすっとしていたおじいさん(いじわるなおじいさんなのかと思ったくらい!)も、このときばかりは、とても優しい顔をしています。すごく、しあわせそう。

さあ、このあと、かたやきパンは食べられたのでしょうか?それとも・・・?



ところで、もしかするとこのお話、最後はくるっと戻って、最初のタイトルページに続いているのでは、なーんて・・・。