ビロードのうさぎ

『ビロードのうさぎ』

原作 マージェリィ・W・ビアンコ
絵・抄訳 酒井駒子
出版社 ブロンズ新社
発行日 2007年4月25日
価格 ¥1,500+税
※原作『The Velveteen Rabbit』



クリスマスの靴下に入っていた、ビロードのうさぎ。
うさぎをもらったぼうやは大喜びで、なでたり、話しかけたり。ところが新しいプレゼントがやってくると、ぼうやはうさぎのことを忘れてしまいました。

ある晩のこと。
いつもぼうやと一緒に寝ているおもちゃが見当たらなくて、お手伝いさんが、ビロードのうさぎをぼうやの腕に抱かせました。

その日からうさぎは、毎晩、ぼうやと眠るようになりました。ぼうやとうさぎは、いつもいっしょ。
うさぎはだんだん汚くなっていったけれど、毎日とても幸せでした。

ところがある日、ぼうやが病気になりました。高い熱で眠り続け、やっとのことで熱が下がったとき、ぼうやは静養に出ることになりました。

そのときです。お医者さんが、お手伝いさんに言いました。
このうさぎは、バイキンのかたまりだから、すぐにでも焼いてしまいなさい、と  

* * * * * * *

マージェリィ・W・ビアンコさんは、ロンドン生まれの作家さん。
初期は小説を書いていたといいますが、この『The Velveteen Rabbit』を機に、絵本の作家に転身されたそうです。(本書作者紹介より)

さまざまな画家が絵をつけ、世界中で愛されているお話ですが、最初に出版されたのは、ウィリアム・ニコルソンさんの絵のもの。(『かしこいビル』の、ニコルソンさんです。)
1922年に、アメリカで出版され、日本では、童話館出版さんから翻訳版が出ています。

酒井駒子さんの本書は、抄訳(原文のところどころを抜き出して翻訳すること)なので、文章はこちらの方が短めで、読みやすいです。何度でも眺めていたくなるような、しっとりとした、美しい絵です。

ただ、やっぱり全文を知りたい、という方には、童話館出版さんの『ビロードうさぎ』がおすすめ。翻訳は、石井桃子さんです。(これは、すごくうれしい。)
ニコルソンさんの絵も、これまた味わい深くて、とっても素敵ですよ。



覚え書き
・『スザンナのお人形・ビロードうさぎ 』高三三男絵、石井桃子訳、岩波書店(1953年)
・『ビロードうさぎのなみだ』吉永純子絵、 谷口由美子訳、文研出版(1981年)※
・『フラヴィアとビロードのうさぎ』フラヴィア・ウィドゥン、リサ・ウィドゥン文・絵、もきかずこ訳、ビクターエンタテインメント(1992年)※
・『ビロードうさぎ』ウィリアム・ニコルソン絵、石井桃子訳、童話館出版(2002年)
・『ベルベットうさぎのなみだ』ルー・ファンチャー文、スティーブ・ジョンソン ルー・ファンチャー絵、成沢栄里子訳、BL出版(2004年)※
※印は、現在品切れ、または絶版のもの。