エンソくんきしゃにのる
『エンソくんきしゃにのる』
作 スズキコージ
出版社 福音館書店
発行年月日 1990年9月15日
※月刊「こどものとも」1986年7月1日発行
価格 ¥800+税
人混みをぬけて、エンソくんは、
はじめてひとりで汽車に乗りこみました。
田舎のおじいさんのところへ遊びに行くのです。
町をぬけ、たくさんの橋をわたり、
その途中で高原の駅に着きました。
すると、たくさんのひつじが、
どっと汽車に乗りこんできました 。
* * * * * * *
ひつじの数は、わたしが数えただけでも40頭以上!この絵本、表紙と裏表紙が繋がっているのですが、窓から顔を覗かせるひつじの光景は、なんとも迫力満点です。
表紙をひらくと、そこには、異国の空気が漂っています。たとえば、ケストナーさんの『エーミールと探偵たち』だとか、ニコルソンさんの『かしこいビル』に漂っているような・・・絵はどれも似つかないのだけれど、すこしふしぎで、でも、そこからわくわくするようなことがはじまりそうな、そんな世界を感じました。
汽車の通る景色は、本当にすてきです。おしゃれな家が連なる、味わい深い街並みだったり、山間の川に架けられた、レンガ造りの橋だったり。それから汽車の中だってすてきなんですよ。おしゃれな内装で、絵だって飾ってあります。
ひとりで切符を買って、ひとりで汽車に乗って、ひとりで駅弁を買って・・・
絵本を読んでいると、エンソくんの緊張が伝わってくるけれど、それと同じくらい(それ以上かな?)この旅を楽しんでいる気持ちも伝わってきます。
ひとりでなにかをするって、こんなふうに、両方の気持ちを抱えるからいいんですよね。