三月ひなのつき

『三月ひなのつき』

作 石井桃子
絵 朝倉摂
出版社 福音館書店
発行年月日 1963年12月1日
価格 ¥1,400+税


よし子の家には、おひなさまがありません。

お母さんが小さいころから大切にしていたおひなさまが、空襲で焼けてから  つまり、よし子が生まれてからずっとです。
お母さんは、自分のおひなさまを、お友だちのように大切に思っていました。だから、ほかのものを、その代わりに飾ることができなくなってしまったのです。

けれどよし子は、もう10歳。
どうしても、自分のおひなさまがほしくて、泣いてお母さんにお願いしました。

* * * * * * *
おひなさまをだいじにした気もち、おかあさんが、おひなさまを見て、いろいろ感じたこと、それが、みんな、きょう、おかあさんを助けてくれてると思うの。”(本文より)
よし子のお母さんが、よし子のことを、大切に大切に思っているのが、手にとるように伝わってきます。
そして、そんなよし子もまた、お母さんの気持ちをくんで、少しずつ、すなおに耳を傾けられるようになっていきます  

親子のあたたかなやりとりに、胸がじいんとします。読みものですが、挿し絵がふんだんに添えられているので、絵本と童話の間のような佇まい。絵も、文章も、とても美しいです。

※漢字表記あり。一部ルビがふってありますが、ふっていないところもあります。