ちいさなき

『ちいさなき』

文 神沢利子
絵 高森登志夫
出版社 福音館書店
発行年月日 2009年5月20日
※月刊「ちいさなかがくのとも」2003年11月1日発行
価格 ¥800+税


“すみれと せいくらべしているの?
ちいさな き あかちゃんの き
こんなところに みぃつけた”(本文より)

* * * * * * *

うまれたばかりの赤ちゃんの木は、
葉っぱのかたちも、枝振りも、種類によってさまざまです。

お母さんの木を探してみれば、
かえでの木だったり、樺の木だったり。

秋が来ると、赤ちゃんの木も色付いていきます。

黄色に、赤に、と
ちょうど、お母さんと同じように。

ずっと緑なのは、もみの木の赤ちゃん。
やっぱりお母さんも、ずっと緑です。

ちょうど表紙に描かれているのが、もみの木の赤ちゃんです。
よく見ると、てんとう虫がとまっています。

絵を描かれたのは、
たねのずかん』や『野の草花』(いずれも福音館書店刊)の、
高森登志夫さん。

繊細な絵からは、
木々の呼吸や、葉の擦れる音が聞こえてくるようです。

神沢利子さんの語りかけるような言葉もすてきで、
何度も声に出して読みたくなります。

赤ちゃんの木の成長とともに、
子どものたちの成長を願うような、ほがらかな絵本です。