じめんのうえとじめんのした

『じめんのうえとじめんのした』

文・絵 アーマ E. ウェバー
訳 藤枝澪子
出版社 福音館書店
発行年月日 1968年3月1日
価格 ¥1,000+税
※原書『UP ABOVE AND DOWN BELOW』1943年(アメリカ)


動物には、
地面の上で住んでいるもの、
地面の下で住んでいるもの、
それから、両方で住んでいるものもいます。

けれど、緑色の植物には、
地面の上に出ているところと、
下にもぐっているところがあって、
両方に伸びています。

地面の上と下の世界のこと、
そして、その関係についてのことが、
やさしく、シンプルに描かれた絵本です。

* * * * * * *

淡々と、けれどむだのない、明解なことばで綴られる文章は、分かりやすく、こちらにすっと届いてきます。

わたしがはっとさせられたのは、じゃがいものところ。

“こまかく えだわかれした ねと ふくれた くきが ついている ものも あります。その ふくれた くきを、わたしたちは たべます。”(本文16ページより)

この表現が、いいなあと思います。「じゃがいも」と言ったら、まるまるとしたあの形が、なによりも先に浮かびます。けれど、じゃがいもにしてみたら、地面の上にはちゃんと葉や茎があって、じゃがいもはあくまで、“ふくれた くき”なんですよね。
考えてみれば、そうなのだけれど、普段からそんな見方をしていないものだから、はじめて読んだときはとても新鮮でした。

他のところの文章にしても、そうです。当たり前のことを、さっぱりと綴っているように見えて、実はとても大切なことが、この絵本には詰まっていると思います。