わたし

『わたし』

文 谷川俊太郎
絵 長新太
出版社 福音館書店
発行年月日 1981年2月2日
※月刊「かがくのとも」1976年10月号
価格 ¥900+税


「わたし」は、5歳のみちこちゃん。

男の子から見ると、「女の子」。
赤ちゃんから見ると「お姉ちゃん」だし、お兄ちゃんから見ると「妹」。
きりんから見ると「ちび」だし、ありから見ると「でか」。

客観的に見ると、いろいろな立場の「わたし」がいることに気付かされます。

ある人から見るとただの「子ども」でも、お父さんやお母さんから見ると「娘のみちこ」。これはなんだか奥が深いなあ、と思います。

その人にはその人の世界があって、その人を囲む人たちがいます。そして、その人を囲む人たちにもまた同じように、その人を囲む人たちがいて・・・。社会はそうやってできているし、それぞれ違っているからこそ、「わたし」は「わたし」。

短く、シンプルに綴られる文章ですが、その分わたしたちに託される余白は多いです。立ち止まって考えさせられる1冊です。