かぜはどこへいくの

『かぜはどこへいくの』

作 シャーロット=ゾロトウ
絵 ハワード=ノッツ
訳 松岡享子
出版社 偕成社
発行年月 1981年4月


「どうして、ひるは おしまいになって しまうの?」
寝かしつけにきてくれたかお母さんに、
男の子が聞きました。

「かぜは やんだら、どこへ いくの?」
「みちは、ずっと いって、みえなくなったら、どこへ いくの?」
「あめが やんだとき、ふったみずは どこへ いくの?」

男の子が聞くたび、お母さんは答えます。
おしまいになってしまうものは、何にもなくて、
別の場所で、別のかたちで始まるだけのことなのだと  

* * * * * * * 

1日庭で遊んで、昼過ぎにはレモネードを飲んで、遊びに飽きたら草のうえに寝そべって、お日さまのひかりを浴びて・・・。そんな1日を過ごした小さな男の子は、昼間がおしまいになってしまうのを、残念に思いました。

男の子には、たくさんのふしぎが、次から次へと浮かんできます。そのひとつひとつに、お母さんはていねいに答えていきます。

“ほんとに、ぐるぐる ぐるぐる、つづいて いくんだね。”
お母さんの言葉を聞いて、男の子は言いました。

繊細な鉛筆画が、とてもきれいな絵本です。親子のやりとりが微笑ましくて、白黒の絵の中に、ほんのりとしたあたたかさを感じます。