ガストン

『ガストン』

文 ケリー・ディプッチオ
絵 クリスチャン・ロビンソン
訳 木坂涼
出版社 講談社
発行年月日 2016年2月18日
本体価格 ¥1,600+税


プードル母さんは、4匹の子どもたちが可愛くてなりません。

けれど、その中のガストンだけは、
他のきょうだいと、見た目も性格も、少し違っていました。

そんなプードルの家族が、ある日公園でブルドックの家族と出会います。

ブルドックの家族にも、4匹の子どもがいました。
そして、やっぱり1匹だけ、他のきょうだいと違う子どもがいたのです。
名前は、アントワネット。

プードルの子どものはずのガストンは、アントワネットの家族にそっくり。
ブルドックの子どものはずのアントワネットは、ガストンの家族にそっくり。

お互いをじーっと見つめる、両方の家族たち。
どうしたらいいんでしょう。

そこで2匹は、入れ替わってみることになりました  

* * * * *

アースカラーで描かれる、かわいらしいおしゃれな表紙。

そんな雰囲気からは思いもしないような、
はっきりとしたテーマを持った作品です。

家族のかたち。それはそれぞれで、きっと正解なんてありません。
けれど、“本当に大切なこと” は、ひとつだと思います。

そんな大切なことが、ちょっぴりユーモアも交えながら、
短いおはなしで綴られています。

難しいテーマだからこそ、
作者の感情が長々と語られるよりも、
これくらいシンプルな方がいいのかもしれません。
読者が考える余白を、大切にされているようにも思います。

本書では、どちらのお母さんも、
子どもたちのことを分け隔てなく愛しています。
それがしあわせで、ほっこり。

続編には『アントワネット わたしのたいせつなさがしもの』も。
『ガストン』のテーマが “家族” だとすると、
こちらは “個性” について考える1冊です。