あたたかいおくりもの

『あたたかいおくりもの』

作 たるいしまこ
出版社 福音館書店
発行年月日 1992年10月31日
本体価格 700円+税


クリスマスが近づく、ある日。
りすのところに、森の木から葉っぱの手紙が届きました。

“ことしのふゆは
とっても さむくなりそうです
クリスマスプレゼントには
セーターをあんで
くれませんか”

同じような手紙が、うさぎやいのししのところにも届きました。

そこで、クリスマスの前の晩、動物たちは、それぞれの編んだセーターを持って森へ出掛けました。

* * * * *

本書は、『もりのふゆじたく』、『きのみのケーキ』と合わせて、「もりのおくりもの」という3冊セットで発売されたもの。(単品でもお求めいただけます)


14cm×18.5cmほどの小さな判型で、いずれも、くま、いのしし、きつね、たぬき、うさぎ、りす、ねずみの動物、そして、森の木々が登場します。

シリーズ1作目の『もりのふゆじたく』は秋のおはなし。動物たちは冬のために食べものを集めますが、気のいいたぬきさんは人助けをしているうちに日が暮れて、結局ふくろは空っぽのまま家に帰ります。ところが、最後の結末に思わずにっこり。

続いて『きのみのケーキ』では、そんなたぬきさんが大活躍。とってもおいしそうな木の実のケーキを作ります。ところがやっぱり、気のいいたぬきさん。ひとりで食べるのはもったいないと、みんなを呼びに行きます。ここで、思わぬお客がやってきます。それが、森の木々でした。

そして、本書の『あたたかいおくりもの』では、冒頭にも書いた通り、その木々たちからお願いの手紙が届くのです。セーターを編んでほしい、と。
ところがここでも一難あるのが、やっぱりたぬきさん。編み物をしたことがなくて、一生懸命頑張ったけれど、完成しないままクリスマスイブを迎えます。ところが、そんなたぬきさんに、みんなは……?

3作を通して、秋から冬へと向かい、おはなしは進みます。ところが、その寒さとは反対に、描かれているおはなしは、ほっこりぽかぽか、あたたかい。

作者は、垂石眞子(たるいし まこ)さん。
神奈川県茅ヶ崎市出身の作家さんで、これまでの作品は、『サンタさんからきたてがみ』(たんのゆきこ/作、福音館書店刊)や「ぞくぞく村のおばけ」シリーズ(末吉暁子/作、あかね書房刊)など。